労務ニュース

育児・介護雇用安定等助成金

【両立支援レベルアップ助成金】の一部が拡充されました 

育児・介護雇用安定等助成金(両立支援レベルアップ助成金)のうち、子を養育する労働者のための短時間勤務制度を設け、利用者が生じたときに対象となる「子育て期の短時間勤務支援コース」において、中小企業事業主に対する助成額の引き上げなどの変更がありました。
 これは、従来の「中小企業子育て支援助成金」のうち、短時間勤務制度を設け、その制度を利用させた中小企業事業主に対する助成が平成22年4月1日から廃止されたことに伴う措置です。

◆「子育て期の短時間勤務支援コース」の内容◆
1.事業主の規模の区分
 区分が、大規模・中規模・小規模事業主の3区分に増えました。
事業主の規模が3区分に増


2.受給要件
 以下のアおよびイの両方を満たしていることが必要です。

 ア.少なくとも3歳に達するまでの子(中規模事業主または大規模事業主については少なくとも小学校就学の始期に達するまでの子)を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約または就業規則により制度化していること     なお、複数の事業所を有する事業主にあっては、すべての事業所において制度化している事業主であること
 イ.雇用保険の被保険者として雇用する、小学校第3学年修了までの子を養育する労働者であって、短時間勤務制度の利用を希望した労働者に連続して6ヵ月以上利用させたこと
  このほか、支給対象労働者を、

   ①短時間勤務制度利用開始時、

   ②同制度を連続して6ヵ月以上利用した日の翌日から1ヵ月以上、

   ③助成金の支給申請日、

  のいずれにおいても雇用保険の被保険者として雇用していること、などの要件もあります。

3.受給できる額
 中規模・小規模事業主に対する助成額が引き上げられました。
両立支援受給額変更


*2人目以降の支給対象労働者は、最初の支給対象労働者が生じた日の翌日から5年以内に生じた場合に限られます。
*1事業主当たり、延べ10人(小規模事業主は5人)までの支給となります。

中小企業緊急雇用安定助成金がスタート

雇用の維持に努める中小事業主を支援

 現在の厳しい経営環境下において、従業員の解雇を避け雇用維持の努力を続ける中小企業事業主を支援するため昨年12月に「中小企業緊急雇用安定助成金」がスタートし、その後要件等が緩和・拡充されています。今号ではその概要をお知らせします。

中小企業緊急雇用安定助成金制度とは
 この制度は、世界的な金融危機や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主か、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向をさせた場合に、休業、教育訓練または出向に係る手当もしくは賃金等の一部が助成される制度です。

景気の変動などに伴う経済上の理由とは
 景気の変動及び産業構造の変化並びに地域経済の衰退、競合する製品・サービス(輸入を含む)の出現、消費者物価、外貨為替その他の価格の変動等の経済事情の変化をさしますので、以下に掲げる理由等による事業活動の停止または縮小は本助成金の支給対象とはなりません。

1.例年繰り返される季節的変動によるもの
2.事故または災害により施設または設備が被害を受けたことによるもの
3.法令違反もしくは不法行為またはそれらの疑いによる行政処分または司法処分によって事業活動の全部または一部の停止を命じられたことによるもの(事業主が自主的に行うものを含む。)

事業活動の縮小とは
 本助成金の支給を受ける前提となる「事業活動の縮小」とは、以下の要件を満たしている必要があります。

1.売上高または生産量等の事業活動を示す指標の最近3ヵ月の月平均値がその直前3ヵ月または前年同期と比較して減少していること。
2.前期決算等の経常利益が赤字であること。(ただし、1において、生産量が5%以上減少している場合は除かれます。)

中小企業事業主とは
本助成金における中小企業事業主とは、以下の表に該当する事業主をいいます。
中小企業とは


支給対象となる休業、教育訓練及び出向とは

《休 業》

1.事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること。
2.所定労働日の全1日にわたるものまたは所定労働時間内に当該事業所における対象被保険者等全員について一斉に1時間以上行われるものであること。(平成21年2月6日から当面の期間にあっては、当該事業所における対象被保険者等毎に1時間以上行われる休業についても助成の対象となります。)
3.休業に係る手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないものであること。
4.労使間の協定による休業であること。

《教育訓練》

1.事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること。
2.所定労働日の所定労働時間に全1日にわたり行われるものであること。
3.就業規則等に基づいて通常行われる教育訓練ではないこと。
4.労使間の協定による教育訓練であること。
5.教育訓練実施日に支払われた賃金の額が、労働日に通常支払われる賃金の額に0.6を乗じて得た額以上であること。

《出 向》

1.事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に開始されるものであること。
2.出向期間が3ヵ月以上で1年以内であって出向元に復帰するものであること。
3.出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うものであること。
4.労使間の協定によるものであること。
5.出向労働者の同意を得たものであること。その他

支給を受けることのできる額
《休業及び教育訓練の場合》
 休業手当または賃金に相当する額として厚生労働大臣の定める方法により算定した額の5分の4(上限あり)。教育訓練を実施した場合は、訓練費として1人1日当たり6,000円を加算。

《出向の場合》
 出向元事業主の負担額(出向元事業主の負担額が、出向前の通常賃金の2分の1を超える時は2分の1が限度となります。)の5分の4(上限あり)。

支給限度日数
 休業及び教育訓練を実施する場合は、対象期間内に実施した休業及び教育訓練が、出向を実施する場合は、対象期間内に開始した出向が支給対象となり、上記の額の支給を受けることができます。
 ただし、休業及び教育訓練を実施する場合、3年間で300日(最初の1年間は対象被保険者×200日分)が限度となりますので、これを超える休業及び教育訓練については支給の対象となりません。

厳しい外部環境下のモチベーション向上 ・・・職場のコミュニケーション

★厳しい外部環境の中でのモチベーション向上をどう考えるか
 前回まで様々な角度から「職場内のモチベーション向上」について取り上げましたが、外に目を向けると、世界経済は正に不安定な状態にあり、こんな厳しい業績の中で個々のモチベーションなんて上げようがない」という声も聞かれます。
 こうした厳しい外部環境の中でどのようにモチベーションを上げればよいのでしょうか。
 80年代・90年代の企業のあり方は、アメリカを中心に正に競争戦略の時代でした。つまり「自社の強みを明確化し、それをもって他社の弱みを叩き、勝つことで生き残っていく」という考え方です。
 日本においても多くの企業が「強み・弱み」「機会・脅威」を洗い出していました。特に「コア・コンピタンス(客観的判断による圧倒的強み)」という概念が出てからは、更に「表出された明確な強み探し」に拍車がかかりました。
  ところが、ここ数年、過去にないほど変化が激しく混沌とした経済状況の中で、持続可能なコア・コンピタンスなど、ほとんどの企業が見出せなくなりはじめました。強みがわからなければ競争戦略の構築もままならず、従業員のモチベーションも低下します。

★ポジティブ・コアという概念
 実は、アメリカのサブプライム・ローン問題が発生するかなり前から、組織開発の世界では、既に競争戦略をベースにしたマネジメントの限界に気づき、かわりに「ポジティブ・コア」という概念が言われるようになりました。簡単に言うと、「過去に強みを生み出すに至ったその源泉]あるいは「今後、我社の強みを生み出すためのその源泉」といった意味です。
 ある会社は、かつて他社に真似のできない『顧客買上傾向データ分析システム』を作り上げ、それをコア・コンピタンスとして業績を向上させました。
 しかし、今では同程度のシステムはライバル達も導入し差別化にならなくなりました。そこで、「我社のポジティブ・コア」を徹底的に究明してみることにしたのです。つまり、何故、他社に先駆けて、あれほどのデータ処理システムを構築できたか、その「源泉」を探ったのです。
 何時間もの討議の中で、一人の幹部から「あの時は本気でお客様のこと知りたいと思っていたよな。だって俺達はお客様のこと何もわかっていなかったのだから。」という言葉が出てきました。
 おわかりでしょうか。この会社においては、「自分達はお客様を理解していない。だからこそ知りたい。」という強い気持ちを全従業員が持っていました。これこそがポジティブ・コアだったのです。だからこそ、過去において、高額な先行投資を行い、部門の縦割意識を乗り越え、素晴らしいデータ処理システムを構築できたわけです。
 その会社は自分達のポジティブ・コアを理解できたことで、現状で足りないもの、障害になっているもの、解決のステップを次々と明確にしていきました。また、そうした自分達のポジティブ・コアを全員に再認識させることで、従業員のモチベーションも向上させていきました。
 厳しいこの時代だからこそ、かつての好調期を振返り、「そもそも自分達の強みの源泉はなんだったのか」を探すことが、間違いなくモチベーションの源泉となるはずです。それは組織においても個人においても必要なことなのです。

■組織内ストロークとは・・ 職場のコミュニケーション

組織内ストロークとは

ストロークの効用
 アメリカであった話ですが、ある若い母親が赤ん坊を育てる間中ヘッドホンステレオを聴いており、その子がどのような行動をとっても褒めも叱りもしなかったそうです。
 その結果、その子は知能だけでなく体も成長がとまってしまったそうです。医師達は「ストローク欠乏によって、自分の存在が世の中に必要とされていないと心が判断してしまった」と結論付けました。
 最近、組織内のストローク(相手の存在や価値を認める・もしくは否定するための言動や働きかけ)が足りない状況が増えていると言われています。
 ある企業研修で講師が開始5分前にスタートできたことに対し、「皆さんは素晴らしい。リソースの申でも最も重要な時間を大切にしていますね。」と伝えたところ、参加者たちはその後見違えるほど行動が変わり集中力も持続するようになったそうです。
 普段上司から褒められることがないため、時間を当たり前に守っただけで講師に褒められたことが嬉しかったようだと話していました。

企業においてストロークが何故出なくなっているのか
 実は、多くの企業でストロークの効用に気づいていながらも、互いに「褒める」「叱る」といった行為がどんどん減っているようです。理由として「ギリギリの人数で仕事を行うために話す余裕がない」「メールのやり取りが増えて直接の接点がない」といった環境変化もありますが、より根深い要因として2つ考えられます。
 ひとつには、厳しさを増す経営環境で、成果に対する期待値が跳ね上がっていることです。こんなことはやれて当たり前だ」と思ってしまうと、「褒める」というストロークが出なくなってしまいます。あるいは逆に「こんな高い目標はできなくても仕方がない」と思うことで、「叱る」というストロークも出なくなる場合もあるでしょう。
 二つ目は、客観性や論理性を重んじようとする風潮です。ストロークとは、突き詰めれば自分が相手に対して感じた主観をぶつけることです。この人の行為は客観的に見てどう評価すべきか」と悩んでしまうと、その瞬間の「生きたストローク」は出なくなってしまいます。

どうすれば相互ストロークの働く職場になるか
 では、どのようにしたらストロークの働く職場風土になるのでしょうか。
 マネジメント上の解決策としては、「当たり前意識」の弊害から抜け出すために、最終目標の手前の「置石目標」を設定することです。
 例えば、「半期で五千万円の目標がある。では、まず今月新規のお客さん5人と会おうね」と、その人が頑張れば達成できる中間目標を定め、その達成度に対してプラスもしくはマイナスのストロークをしっかりと与える習慣をつけるのです。
 コミュニケーション上の解決策としては、会話に「私(僕)は~と思うよ。」と主語を置く習慣をつけることです。主観を出しあう環境を作ることで、ストロークを出しやすくなります。管理職がよくやる過ちは、一般化した意見を伝えようとして、結果的に相手に響かないことなのです。
 相互ストロークのない会社は、いくらルールや仕組みを作ってもコンプライアンスの問題は出てしまいます。また、本当のノウハウも共有することができません。
 コーチングスキルとしての「褒め方」「叱り方」といったテクニックを学ぶのもいいですが、それ以前に、何より互いに周りの人を興味を特って見ているかどうかが、最も大切なのです。その上で、勇気を持って自分の主観としての「褒める」「叱る」といったオーソドックスなストロークにチャレンジしてみることです。

総合的思考による知識共有化システム

職場のコミュニケーション

 今回は最新の組織活性化の理論についてご紹介します。
 私たちは職場の活性化を考える時、若手へのOJT強化や管理職のリーダーシップ研修といった、個人の能力開発を行うか、「業務フローの単純化」「ナレッジ共有システムの構築」といった仕組みやルールの改善に意識がいきがちです。しかしそれらは「部分の変革」にすぎず、組織そのものの本質的変革にはつながりません。
 トロント大学のロジャーマーティン氏が、2007年の著書『The opposable mind』の中で、様々な組織を研究した結果、「優れた組織には Integrative thinker knowledge system(統合的思考による知識共有化システム)が働いている」という結論に達したと述べています。
 ロジャーマーティン氏は、部分としてではなく組織全体として、「統合的思考による知識共有化システム」の必要性を述べています。このシ
ステムは、3つのステップ「Stance」「Tools」「Experience」で意思決定をしていくとともに、そのステップを組織の中で絶えずループ(見直し)させていくものです。

第1ステップ‐Stance
 「私(私達)はどこに立っているのか」「何のための存在か」という、いわば組織の存在理由を明確にするステップであり、すべての組織活動のスタートであり、働く人のモチベーションの源泉になります。特にM&Aや新規事業戦略の実行において、多くの企業がここを不明確にしたまま数々の施策を打っては失敗しています。
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第ニステップ-Tools
 Toolsとはここでは「道具」「関数」「フレームワーク」といった意味で使われています。つまり、明確になったStanceを生かしていくために、どんなやり方をするのかを考えるのがこのステップです。業務のやり方やシステムのみならず、「我々はどのようなみかたをするか」というのも、組織における「道具」のひとつです。

第3ステツプ-Experience
 Toolsを使った成果を「経験」「知識」として、組織と個人に共有化し定着させていくステップです。これにより確信が深まり、独創性が育ちます。このステップを疎かにすると組織内にノウハウは溜まらず、「人財」も育たなくなります。

 以上のように意思決定のステップは第1から第3へ進みますが、同時にいつも前ステップを見直していくことも大事です。
 特に第1ステップの見直しを忘れる組織は多いようです。最もまずいのは、第ニステップ(Tools)だけしか考えていない組織です。一見効率的ですが、組織としてはモチベーションも帰属意識も低下し、かつ経験も蓄積されないために、長い目で見ると、確実に成果は低下していくのです。

モチベーションの分析

モチベーションの分析(動機付け理論と欲)
  職場のコミュニケーション

【マズローの欲求5段階説】
 徹夜勤務に近い日々を送りながらもモチベーション高く仕事をしている人もいれば、少しの残業で健康や神経を害してしまう人もいます。一体、仕事において「やる気が出る」と「やる気を無くす」の分岐点はどこにあるのでしょうか?
 職場のモチベーションを考える上でよく引き合いに出されるものに、マズローの「欲求五段階説」というのがあります。下図のように、人間には五段階の欲求があり、下位から順に充足していくというものです。
 この説に当てはめると、今の時代は既に最上級の第五段階「自己実現の欲求」まで満たされているのでは、という意見があります。昔に比べれば転職に抵抗は無く、あるいは企業内にあっても、実力とやる気があれば年功序列に関係なく仕事をやらせてくれる企業も増えている時代だからです。
 それなのに何故これほどモチベーションの問題が話題になるのでしょうか?
マズローの欲求5段階

【満たされていない欲求は何か】
 実は現代において、ひとつだけ過去よりも弱まっている段階があります。第三段階「集団・帰属の欲求」です。現在ほとんどの職場では一人に一台ずつパソコンがあてがわれています。命令・報告・連絡は下手をするとメールだけですんでしまいます。笑い話のようですが、隣の席の先輩に「明日急用で休みます」とメールで送るという実話もあります。こんな状況で、集団・帰属の欲求が満たされるとは到底思えません。
 欲求五段階説では「下段階の欲求が満たされて初めて次の段階の欲求が生まれる」と言われます。つまり、先ほど「自己実現の欲求」は現代において一見満たされていると書きましたが、途中の第三段階が不完全な以上、これは「偽りの満足」なのかもしれません。

【ハーツバーグの動機付け理論】
 モチベーションを考える上でもうひとつ大切な考え方にハーツバーグの「動機付け理論」というものがあります。
 賃金・労働条件・作業環境などは「もし、それがないと不満の原因をなすものだが、あったからといって動機付けにはならないもの」であるとして「衛生要因」と名づけ、仕事そのものの内容や質、及び達成に対する内外的承認を「無限に積極的態度を引き出すことができるもの」として「動機付け要因」と名づけました。
 この理論をマズローの欲求五段階説と重ね合わせると、ちょうど「動機付け要因」と「衛生要因」の分かれ目が第三段階「集団・帰属の欲求」になります。つまり動機付け要因に昇格するためにも、集団・帰属の欲求を満たすことが避けられないのです。

【理論を職場に当てはめる】
 うちの職場は生活に十分な給与を払っているし、やる気のある人間にはどんどん達成感のある仕事をやらせている。それなのに何故全体のモチベーションが上がらないんだ?」と言う経営者や管理職の方がいらっしゃいます。
 この考え方には大事なものが抜けています。職場における「人と人との絆」です。
 実際に、相手に求めていることをメールや書類ではなく、一人ひとりに向かい合って目を見て伝えることが大切なのです。最近、社員旅打や運動会を復活させる動きも出ています。OA化か進んだ今だからこそ、「集団・帰属の欲求」に応える努力が必要なのではないでしょうか。

現代組織のモチベーションとは

職場のコミュニケーション

モチベーションを考える上での前提
 今回からは、「職場のモチベーション」について取り上げていきます。
 「マネジメントが安易に口にしてはいけない三悪テーマ」として、「エデュケーション(人材教育)」「コミュニケーション」「モチベーション」がありますが、実は、現代の組織におけるモチベーションとは、単に「個人のやる気をあげる」ということではなく、様々な要素が含まれているのです。そこを明確にするために、「組織活性化の焦点」の歴史的変遷から探ります。

日本における組織活性マネジメントの焦点の変遷とモチベーションについて
1.「仕組み」への焦点
 終戦後の日本では「精神論だけでは無理だ」という気づきから、「仕組み」や「制度」が主に欧米より導入されました。
 当時のコンサルタントは「改善屋」と呼ばれ、生産ラインの「動作研究」や「時間研究」を行い、より生産性をあげるためのシステム作りを行いました。

2.「個人」への焦点
 高度成長期、拡大する組織の機能分化を行う上で、一人が面倒を見られるのは六~七人」という統制の原則から、「組織全体を活性化するには、集団を統制する個人(リーダー)のやる気を伸ばすことが大事」となりました。軍隊型研修なども流行りました。

3.「集団・組織」への焦点
 個人をいかに鍛えても、結局は集団の規範や風土に影響され、元の個人に戻ってしまうことがわかりました。その反省から、集団や組織自体の「物的環境」と「心的環境」をいかに変えるかという考えに焦点が当たり始めました。

4.「戦略」への焦点
 第一次オイルショック後、多くの市場が縮小し始めました。右肩上がりの時代は内部のことだけ考えていればよかったのですが、この頃から、「外部環境(市場・競合)を見たときにどのように活性化するのか」という、外部を見据えた戦略的なマネジメントに焦点が当たり始めたのです。

5.「モチベーション」「コミュニケーショ ン」「リーダーシップ」への焦点
 そして、いよいよここで現代のマネジメントの考え方です。
 いくら外部環境を見てマネジメントをしても、従来のやり方で今まで以上の成果を挙げようとすると組織内の負荷ばかり増え、結果的に長時間労働やメンタルヘルスの問題が出てくることに気づき始めました。
 そのため、ここで「個人と組織のモチベーション・コミュニケーション・リーダーシップをどのようにマネジメントするか」という観点が出てきたのです。

現代の職場モチベーションを考える上でのポイント
 さて、ここで大切なのは、上記のマネジメントの変遷を見ればわかるように、現代における「モチベーション」とは、1の「仕組み」から4の「戦略」までの全ての要素を踏まえた上に成り立っているということです。その意味で、2の高度成長期における「個人のやる気」への焦点とは全く違っています。
 したがって、職場のモチベーションを考えるとき、「今職場にはどのような仕組みがあるのか」「集団・組織はどのような構造になっており、どんな風土が存在しているのか」「市場や競合はどのような動きなのか」を総括的に考えた上で切り込む必要があります。
 しかし残念ながら、未だに個人に対する「飴と鞭」だけでモチベーションを向上させようとする職場やリーダーが多いのも事実です。
 そうした点を踏まえて、次回よりモチベーション向上のための理論と実際の行動について掘り下げていきます。

生産的な会議とは

職場のコミュニケーション

生産的な会議とは

ダメな会議とは何か
 メールという通信手段が発達した昨今、本来であれば、重要性や緊急性が伝わりやすいフェイス・トウ・フェイスの場である会議はますます犬切になっているはずてす。
 ところが、うちの会社の会議は意味無いよ!」という声があがっているのをときどき耳にします。日産のゴーン社長も、改革の初期にまず生産性の低い会議の変革に取り掛かったといいます。
 では、「ダメな会議」のモデルとは、どのようなものを言うのでしよう。少なくとも以下のような会議をやっていたら赤信号です。

①アウトプット(成果)を明確にしていない会議 → 何時までに何の結論を出すのか
②参加者が準備をしてこない会議 → 当事者意識の無い会議は時間の無駄です
③結局、トップ(もしくは決まった人)が結論を出す会議 → 本気で納得する人はいません
④報告のための会議 → メールで事足ります
⑤数字しか言わない会議 → 数字の背景にあるものこそ共有が必要です
⑥発言しない人がいる、もしくは全員が一言ずつしか話さない会議 → 参加者は、その時間に本来の業務をやっていたほうがいいです


生産的な会議をする為には・・・
 前段のような「ダメな会議」は論外として、生産的な会議をするためにはどうしたらよいでしょうか?
 企業における会議とは、良い結論を出すためにやるわけではありません。その会議の結論に対して、参加者全員が真剣に打ち込めるような討議をすることが目的です。ところが、ともするとその目的を忘れ、「良い結論=妥当な落としどころ」を出すために、参加者の意見の共通項を探しあう会議が実に多いようです。
 しかし、「10ある意見のうちの3つについては共通だからこれで決めよう」となったとしても、残りの7つについて納得しないままであれば、決定後に本気で取り組めません。

 生産的会議のスタートラインは、参加者の意見の相違点を明確にすることなのです。そのためには、それぞれの主観を言い切ることが必要です。マネジメントに正解はないからこそ「客観的に見てどうか」を問うより前に、まず個々人の主観の表明が大事になります。
 本気で主観を言い切ると、一見同じように思えた意見であっても微妙な差異が見えてきます。この微妙な差異がどこから出てきているかをとことん話し合うことこそが、生産的会議のポイントなのです。
 差異を話し合っているうちに、自分と違う考えを持つ相手の主観が立脚するものが見え始めます。「そういう意味で貴方は違う意見を持っていたのか」と理解した瞬間にこちらの自己概念も広がり、初めて本当のコンセンサス(全員の合意)の手がかりが見えるのです。

 ユダヤ人の教えに「全員が一致ならその会議はやり直せ」というのがあります。簡単に意見が揃った会議は、その結論も、実行段階での本気さも、どこか問題をはらんでいることが多くあります。これは、生産的会議に葛藤はあって当たり前ということを暗示した教えなのです。

 ①自分の主観を言い切ること、
 ②相手の主観をしっかり聴くこと、
 ③互いの微妙な差異を究明すること、
 ④新しい見方に立脚すること・・・

これこそが生産的会議を実施するコツと言えます。

コミュニケーションの世代間ギャップ

世代間のコミュニケーション

コミュニケーションのジェネレーションギャップ
 古代エジプトの壁画に「近頃の若い者は何を考えているかわからん」と書かれているそうです。私たち人類は、何千年も前からジェネレーションギャップ(世代による価値観などの違い)を感じ続けているのですから、ほかの世代とのコミュニケーションを改善することはそう簡単にできる話ではないでしょう。
 しかし、まちがっても、無理をして相手世代に合わせたコミュニケーションにしないことです。そんなことは簡単に見抜かれ、かえって距離が遠のくばかりです。そのためには、忍耐強くコミュニケーションを実践し、互いの目標観を揃えることにトライしてみることです。

自分より若い世代とのコミュニケーションをとるポイント
 今の若い世代は、間違いなくコミュニケーションが下手になっています。「下手になった」というより「コミュニケーションの取り方が変化している」と言ったほうが正しいかもしれません。
 彼らが悪いわけではなく、取り巻く環境が激変しているのです。兄弟が少なくなり、子供の時から個室を与えられ、携帯電話を持ち歩いていれば、昔のように顔と顔を突き合わせて傷つけたり傷つけられたりしながらコミュニケーションを学ぶ体験が圧倒的に少なくなるのは当然です。
 その反面、最近の若い方のコミュニケーション上の特徴として、大きく二つのポイントがあります。ひとつは、前述したような環境で育った反動か、意外に人と人とのつながりを求めているのです。特に彼らは自分の話を相手に聴いてもらいたがっています。したがって上の世代は、一度若い世代の話(というよりは気持ち)を十分に聴いてみることです。その際大切なことは、途中での意見や忠告は我慢することです。彼らは「この人は自分の話をしっかり聴いてくれた」と認識してはじめてこちらの話も聴き始めます。
 もうひとつのポイントとして、豊かな時代に育った彼らは一見《生活感》がない代わりに、「自分や自分の仕事が世の中にどのように役立っているのか?」という、社会性や将来に向けてのビジョンに興味が強いというのも特徴です。
 彼らに対して業績や作業の話だけではなく、自分自身の言葉として社会や人生についてのビジョンを聴かせてあげることです。個人差はあるでしょうが、意外なほど反応があるのではないでしょうか。

自分より上の世代とのコミュニケーションをとるポイント
 逆に若手から上の世代に対しては、「下の話を理解しようとしない。何か新しいことをやろうとするといつも上司は抵抗勢力になる」という意見があります。
 こんな例があります。ある若手人事担当者が、上司に「職場のモチベーションを上げるために研修をやりたい」と進言しましたが、上司から「そんなのは今までもやったことがない。本年度の目標達成に向けて新たな設備投資をしているのだから、研修に回す予算なんかない。」と断られました。よくある話ですが、実はここに重要なコミュニケーションギャッププがあります。
 つまり、若手人事担当者は組織のアウトプット(成果)になんら触れぬまま、スループット(モチベーション向上)を挙げているのに対し、上司はアウトプット(本年度目標達成)をべースにスループット(新たな設備投資への予算の配分)を述べているのです。
 この場合、若手人事担当者はまずアウトプット、例えば「本年度目標を達成するために社員の生産性向上が必要」「我が社の社会的信用を考えてのメンタルヘルス対策」などを述べた上で、モチベーション向上策を訴えるのが効果的なやり方です。
 上の世代(上司)は当然、部下以上に全体を見ています。したがって、若手から上司とのコミュニケーションを図る時には「アウトプットから話す」というのが最も大切なポイントです。

職場のコミュニケーション 「聴く」ための力をつける

「聴く」という行為の力
 職場でのコミュニケーションにおいては、「伝えること」よりも「聴くこと」のほうが重要な局面が増えています。特に最近はメンタルヘルスの問題もあり、単に聞き流す「聞く」ではなく、いわゆる『積極的傾聴法(Active listening)』の必要性が言われるようになってきました。積極的傾聴法とは、「カウンセリングの父」といわれるカール・ロジャースが提唱したもので、相手の言葉をただ受動的に聞くのではなく、話し手の言葉の中にある事実と感情を積極的につかみ、その本質を明確にしてあげることで、話し手が自分自身で問題解決できるように援助することです。 仕事がハードなある企業で、ひとりの課長の部署だけは部下が辞めていないことがありました。本人と話してみると、正に、この積極的傾聴法を無意識にやっていたのです。
 彼は次のように言っていました。「部下が辞めたいと言ってきた時は、とにかく5分間、徹底的に相手の話を聴きます。その間、一切アドバイスはしません。もちろん『甘ったれるな』と叱ったりもしません。どんなに後ろ向きの不平を言っていても、ひたすら彼の言葉と感情を聴き切るのです。すると不思議なもので、最後のほうになると自分で『でも私が頑張るしかないですもんね』などと前向きなことを言い出すのです。」…これこそが積極的傾聴法なのです。 もちろん、彼はなんでも部下の言いなりになるような軟弱なリーダーではありません。緊急性の高い時には部下を怒鳴り飛ばすこともあるそうです。しかし、時と場合によって積極的傾聴法も使い分けられる、これこそが理想的な職場のコミュニケーションなのです。

「聴いているふり」が一番いけない
 私たちは、ともすると「聴く」ということを受動的行動と勘違いしてしまいます。会議などで何も発言しない人を注意すると、「私は今、聞くことに集中しています。」と言い返す人がいます。あるいは、部下からの相談事を書類やパソコンを見たまま聞いている上司がいます。これらの行為は、いわゆる「聞く」であり、ただ単に耳に入ってくる言葉を受け取っているに過ぎません。「聴く」というのは、相手と正対し、「なぜ、あなたはそう思ったの? それは○○という意味なの?」と、一歩突っ込んで事実と感情を明確化していくことなのです。忙しくて「聴いたふり」をするくらいなら、「悪い、今時間がないので、後で聴くよ。」と明確に断ったほうが、よほど誠実味かあります。

傾聴力の鍛え方
 聴く力をつける一般的な卜レーニング方法として、3つのステップを踏むことが有効です。
1、相手の言うことをオウム返ししてみる。
  話し手の言うことをテープレコーダーのように返してみます。いかに自分が人の話を、自分なりにアレンジして聴いていたかが分かります。
2、相手の言うことを明確化してみる。
  話し手の話の内容に意見は挟まずに、多面的、多角的に質問を投げがけながら、問題状況を明確にしていきます。
3、相手の言うことを明確化しながら共感的に理解していく。
  上記2にプラスして、相手の感情に対し「それは嬉しいですよね。」「そんなことをされたら悲しいですよね。」などと、共感するように答えてあげます。しかし、それ以上にこちらの意見を押し付けることはしません。

職場のコミュニケーション 「原体験」からの言葉を伝える

言葉の力と限界

 「思い」を言葉にすることは非常に大切なことです。漠然とした考えであっても、それに適した言葉を探し、人に伝える過程で概念化し明確化することができます。それこそが言葉の力です。
 特にリーダーであれば、ビジョンと問題状況を明確に人に伝えることこそが最初の仕事と言っても過言ではないでしょう。
 半面、人の行動が他人に及ぼす影響では、見た目などの視覚情報が55%、話し方が38%であり、話の内容などの言語情報はたった7%の割合であると言われています(ただし、この説は心理学者アルバート・メラビアンが提唱した説をかなり拡大解釈したものと言われています)。
 これは、人間の「納得のメカニズム」が「論理的受容」(内容に矛盾は無く論理的には納得できる)だけではなく、「心理的受容」(内容だけでなく表現や態度も含めて感情が伝わり、気持ちとして納得できる)との両方が揃って初めて機能するからです。そして、ともすると「心理的受容」のほうの影響が大きいことが現実には多いのです。こうした面が「言葉の限界」とされる部分だと思われます。
 ですから、「職場の朝の挨拶が大事」というのは、決して礼儀面だけのことではないのです。朝一番で、言葉以外から読み取れる職場仲間の情報をつかむ絶好の方法だからです。
 以上のような言葉の大きな力と限界を理解したうえで、それでもかなり部分を言葉に頼ったコミュニケーションを実施しなければいけないのも事実なのです。

言葉(記号)の限界を超えるためには『原体験』のやりとりが大切

 では、言葉を使ってより良いコミュニケーションをしていく方法とはどんなものでしょうか。
 まず大切なことは、言葉というのは「記号」に過ぎないということを大前提として考えておくことです。
 我々は同じ国の言葉を話せれば正しいコミュニケーションがとれると思いがちです。しかし、わかりやすい例で言えば、「戦争」という言葉を聴いた時、直接戦争を経験した人、親から戦争の体験を聞いた人、親も戦後生まれでテレビでしか知らない人…それぞれに全くニュアンスが違ってくるはずです。
 つまり、言葉という記号を発するときも受信するときも、それぞれの「原体験」とすり合わせながら、その記号に相応しい自分だけの意味づけを投げ合っているわけです。その意味では、違う言語で話しているのと全く同じことと言えます。
 ですから、大切な話を相手と理解し合いたいと思うのであれば、記号である言葉や数字だけをやり取りしていても意味はないのです。互いにその話に絡んでの原体験を話し、聴くことをしなければなりません。
 例えば、新しい仕事の進め方を話し合う場であれば、自分は仕事によってどのような達成感を感じたいのか、今の仕事の進め方をどんな場面でどう感じてきたのか…、それらを評論家的、第三者的に「こうあるべきだ…」で語るのではなく、自身の体験として語ることが大事です。
 特に「管理職と一般社員」「営業と総務」といった、役割や責任などが異なる関係者の間でのコミュニケーションにおいては、極端に言葉(記号)の意味づけが違っていることがあります。そうした場合に、言葉だけのやり取りをすると、大きな勘違いが生じたり、深刻な感情の行き違いになることが往々にしてあります。
 しかし、ひとつの企業に長くいればいるほど、言葉に対する意味づけは皆同じだと勘違いしてしまうものなのです。
 職場のコミュニケーションにおいては、お互いに原体験をもとに話し、それを聴くように心がけることが大切です。

職場のコミュニケーション コミュニケーション改善の第一歩

コミュニケーションを考える上での前提

 俗に「マネジメントが安易に口にしてはいけない三悪のテーマ」というのがあります。

  • コミュニケーションcommunication
  • モチベーションmotivation
  • エデュケーション(人材教育)education

 「うちの職場(会社)は<モチベーション>が低いのが問題だよ。その原因は<コミュニケーション>不足にある。解決するためには<人材教育>しかないね。」
 このように言えば、もっとものように聞こえます。しかし、実はこの三テーマは組織にとって目的ではなく、手段にすぎません。
 さらに、「この三つができていないこと」ではなく、「この三つがなぜ悪いのか」を考える必要があるのに、三テーマを言った瞬間にすべてがクリアになったような気になってしまうのが問題なのです。
 職場で管理職やリーダーが安易に多用し始めたら要注意です!
 本号から数回にわたって、職場のコミュニケーションについて連載しますが、常に「そもそも何のためにコミュニケーションを良くしたいのか」「コミュニケーションを悪くしている本質的問題とは何なのか」という視点で考えていきます。

コミュニケーションとは何か

 最初に、「コミュニケーションとは何か」について考えます。
 「大辞林第2版(三省堂)」によれば、『コミュニケーションとは、人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと。』とあります。
 では、互いに意思・感情・思考を伝達し合うために必要な要素とは何でしょうか。当然、「発信する=話す」と「受信する=聴く」という要素が考えられます。
 しかし、その大前提として最も大切な要素があります。それは「伝えるべきことを自分自身の中に持っているか」ということです。
 ある企業で、定着率をあげるために職場リーダーに対して「コーチング研修」を一生懸命にやっていましたが、一向に改善されないことがありました。
 原因は明確でした。コーチング研修により「発信するスキル」「受信するスキル」は身につけたものの、一番大切な、話す前提としての自分自身のビジョンを明確化すること、聴く前提としての自分自身の問題意識を掘り下げることを一切やっていなかったのです。

コミュニケーション改善のためにまず何をすべきか

 もし、職場でコミュニケーションがもうひとつだと思ったら、最初にやるべきことは、スキル研修ではなく、まず個々人にビジョンを明確化させ、それを話し合わせることです。
 スローガンのようなものではなく、「どのような職場にしていきたいのか」を自分自身の言葉で表現し、周りの同僚や上司などと共有させるのです。
 次に「そのビジョンと現状の間のギャップは何か」という問題を話し合いながら明確にさせるのです。
 できれば、異なる階層や部門間のメンバーを数人のグループにして話し合わせるとさらに良いでしょう。異なる価値観の人と話し合うことで、「自分自身の伝えたいこと」がより明確になるからです。
 一見遠回りのように思われるかもしれませんが、これこそが本質的にコミュニケーションを改善していく第一歩になります。

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