11月■年次有給休暇の時間単位付与  -改正労働基準法のポイント

 年次有給休暇は、このところの取得率が5割を下回る水準で推移しており、その取得の促進が課題となっています。年次有給休暇制度は、働く人が心身の疲労を回復させるなどの目的のために、まとまった日数の休暇を取得するというのが本来の趣旨です。しかし、仕事と生活の調和を図る意味から、現行の日単位による取得のほかに時間単位による取得の希望もみられるようになりました。
 こうしたことを受けて、今回の改正により、年次有給休暇を有効に活用できるよう、時間を単位として与えることができるしくみが新しく設けられました。

■時間単位付与の要件
 時間を単位として与える年次有給休暇(時間単位年休)を実施する場合には、あらかじめ事業場において労使協定を締結する必要があります。この労使協定は個々の労働者に対して時間単位による取得を義務づけるものではなく、協定が締結されていれば、労働者が時間単位による取得を請求した場合に、請求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるという趣旨のものです。
 なお、労使協定の締結によって時間単位年休を実施する場合には、就業規則の作成が義務づけられる一定規模以上の事業場においては、時間単位年休に関する事項を就業規則に記載する必要があります。

■労使協定で定める事項
 時間単位年休にかかる労使協定で定める事項は、次の4つがあります。

(1)時間単位年休の対象労働者の範囲
 時間単位年休の取得は、事業の正常な運営との調整が考慮されるものであるという観点から、例えば工場で一斉に作業を行うことが必要とされるような業務に従事する労働者にはなじまないことが考えられます。
 したがって、労使協定では、時間単位年休の対象労働者の範囲を定めることとされています。ただし年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であることから、例えば育児や介護を行う労働 者に限るなど、利用目的によって時間単位年休の対象労働者の範囲を定めることはできません。

(2)時間単位年休の日数
 時間単位で付与できる年次有給休暇の日数は「5日以内」で定めることが必要です。パート労働者など5日に満たない日数の年次有給休暇が比例付与される労働者については、労使協定では、その比例付与される日数の範囲内で定めることになります。
 また、前年度から繰り越された年次有給休暇がある場合は、繰越分も含めて5日以内の範囲となります。

(3)時間単位年休1日の時間数
 時間単位年休を付与する場合は、何時間で1日分の年次有給休暇に相当するのかを定めておくことが必要です。通常であれば、その労働者の1日の所定労働時間数をもとに定めることになりますが、1時間に満たない端数がある場合はそれを1時間に切り上げなければなりません。例えば1日の所定労働時間数が7時間30分の場合は、「8時間」とします。
 また、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日の平均所定労働時間数をもとに、1年間における総所定労働時間数も決まっていない場合には、所定労働時間数が決まっている期間における1日の平均所定労働時間数をもとに決めることになっています。

(4)1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
 時間単位年休は、必ずしも「1時間」を単位とする必要はありません。「2時間」や「3時間」といったように、1時間以外の時間を単位として時間単位年休を付与することもできますが、その場合には、労使協定でその時間数を定める必要があります。
 ただし、1日の所定労働時間数と同じ、またはこれを上回る時間数を単位とすることはできません。

■「時季変更権」との関係
 時間単位年休についても、事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者は請求にかかる時季を変更することができます。 しかし、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による取得を請求した場合に時間単位に変更することは、時季変更に当たりませんので、認められないことになっています。

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