労使協定の基本的事項

     -労使協定の手引き

 使用者と労働者との基本的な約束ごとである労働契約は、「(労使が)対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきもの」とされています(労働契約法第三条一項)。しかし、個別の合意があればどんな内容の労働条件でもよいというものではありません。労働条件の決定・変更には、労働基準法はじめ労働関係の法令によってさまざまな規制を受けているためです。
 もっとも、こうした規制のなかには、「労使協定」によって法令違反に対する罰則規定の適用を免れるものもあり、労使協定には規制の弾力的な運用が認められるという効果もあります。例えば、労働基準法では法定労働時間を超える労働をさせてはならないと定めていますが、一方で、労使協定を締結し、これを行政官庁に届け出れば、法定労働時間を超えて労働させたり法定休日に労働させることができるとしています。(労基法第三六条)
 また、労使協定には、「高年齢者に対する継続雇用制度に関する基準等」のような使用者と労働者の合意文書の性格を持つものもあります。こうしたことから、労使協定は良好な労使関係を構築、維持するためにはとても重要とされていまず。
 最近の労働関係の法律改正をみると、労使協定が必要となる場面も拡がる傾向にあり、その注目度も高まっているといえます。今号より、労使協定の実務について、シリーズで取り上げます。


※)労使協定とは・・・

 労働基準法でいう労使協定とは、使用者と、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との間に書面で結ばれる協定をいいます。
 労使協定が「すべての労働者」ではなく「過半数制」を取っているのは、労使自治の原則からみて、その事業場に使用されている大多数の労働者の意思を反映していると推定できるためです。
 したがって、過半数で組織する労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者) の資格、選出方法には一定の制限があります。

*)過半数代表者の要件
 労働基準法に規定する過半数代表者は、次の①及び②のいずれにも該当する者と定められています。(労基法施行規則第六条の二第一項)

① 法第四一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

② 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。

 つまり、過半数代表者は、労働時間や休憩、休日に関する規定の適用が除外される管理監督者ではなく、労使協定を締結するための代表者を選ぶことを明らかにして、使用者の意向が及ばないような方法によって選出されることが必要となります。

*)労使協定にも周知義務
 使用者は、就業規則だけではなく、その事業場で締結された労働基準法に基づく労使協定についても、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することなど一定の方法により、労働者に周知させることが義務付けられています。(労基法第一〇六条)

*)有効期間や届出は・・・
 労使協定の有効期間の長さについては、法令による制限はありません。しかし、労使協定の種類や内容に応じて適切な有効期間を定め、実態に合うよう定期的に見直しをすることは必要となるでしょう。また、労使協定には、行政官庁ヘの届出が必要なものと、必要のないものがあります。

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