アルバイト先へ移動中の通勤災害 (労災保険)
-社会保険・ワンポイント ゼミナール
◆【質 問】◆
当社は、業績悪化により一部の社員を休業させています。このほど、数名の社員から「数カ月も賃金がカツトされ生活に困っている。アルバイトを認めてほしい。」という要求があり、やむを得ず認めました。
休業は全1日だけではなく、業務の都合で午後だけのこともあります。もし、社員が当社からアルバイト先へ移動中に事故に遭ったら、労災保険はどうなるのでしようか? また、労災保険の対象になるとすれば、当社が届出をすることになるのでしようか?
◆【解 説】◆
【事業所間移動の通勤災害】
複数の事業所で雇用される労働者が、第1の事業所から第2の事業所へ移動する途中で災害に遭い、けがを負ったときなどは労災保険が適用されます。
ただし、この場合も自宅と就業場所との間の移動と同じように、前提として、移動が労災保除法における「通勤」の要件を満たしている必要があります。
つまり、「就業に関し、合理的な経路及び方法により」移動を行うことが必要で、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合には、逸脱、中断の間、及びその後の移動は通勤とはなりません。
ただし、日常生活上必要な行為(「日用品の購入その他これに準ずる行為」など厚生労働省令で定めるもの)であって、やむを得ぬ事由により最小限度の範囲で行う逸脱、中断の場合は、その後の移動は通勤とされます。
たとえば、通常の事業所で午前中勤務し、合理的な経路、方法でアルバイト先に向かう途中で始業時間との関係から昼食をとった場合、その行為が「日常生活上必要な行為であって、やむを得ぬ事由により最小限度の範囲で行う」ものであると認められれば、食事中は通勤の「中断」ですが、その後は通勤となって、労災保険の保護対象になります。
【どちらの事業所で適用するか】
2つの事業所間の移動中に被災した労働者は、第2の事業所において労災保険が適用になります。これは、移動が第2の事業所で就業するために行われるものであるという考え方からくるものです。したがって、質問のケースでは、第2の事業所であるアルバイト先の保険関係で処理することになります。
また、休業給付などの被災前3ヵ月間の平均賃金をベースに給付基礎日額が算定されるものについては、2つの事業所それぞれの平均賃金が合算されるのではなく、労災保険が適用される事業所から支給される賃金だけで算定されます。
アルバイト先で労災保険が適用されると、本来の勤務先よりも低い賃金をもとに計算されることになるので、アルバイトを認める場合にはこの点にも注意しておくことが必要となるでしょう。
■ワンポイント・チェック■
事業所間の移動中の通勤災害は、それぞれの事業主が二重就労を認めていたか否かは問われません。
したがって、就業規則に二重就労を制限する規定があり、労働者がそれに違反して会社の許可なくアルバイトをしていた場合でも、移動中は通勤災害の対象となります。




