貯蓄金の管理と賃金の控除
-労使協定の手引き
■貯蓄金の管理■
労働基準法第18条では、「使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。」と定めています。これは、労働契約の1つとして強制的に社内で貯蓄をさせ、または会社が預金通帳や印鑑を管理することで、労働者が不当に足止めされたり、経営状況が悪化した場合に貯蓄金が転用されないようにするために設けられた「禁止規定」です。
しかし、労働者の自由な意思に基づいて、労働契約としてではなく貯蓄金を管理することは一定の要件のもとで認められています。
その主な要件は次のとおりです。
(1) 労使協定を締結し、そのことを労働基準監督署に届け出ること
(2) 貯蓄金の管理に関する規程を定め、労働者に周知させること
(3) 貯蓄金が、労働者の預金の受け入れである場合は、利子を付けること
労使協定には、次の事項を定めることが必要です。
1.預金者の範囲
2.預金者1人当たりの預金額の限度
3.預金の利率及び利子の計算方法
4.預金の受入れ及び払い戻しの手続
5.預金の保全方法
このうち、預金の保全方法としては金融機関に預けることなどが考えられますが、「賃金の支払の確保等に関する法律」では、事業主は、原則として、毎年3月31日において事業主が受け入れた労働者ごとの受入預金額について、同日後1年間を通じ、払い戻しの保証に関して金融機関と契約するなど、貯蓄金の保全措置を講じなければならないと定めています。
■賃金の控除■
賃金には、いわゆる「全額払いの原則」がありますが、法令の定めによる場合(所得税の源泉徴収や社会保険料控除)、または労使協定に基づく場合は、賃金の一部を控除して支払うことが認められています。(労働基準法第24条第1項)
たとえば、社宅の賃料の1部を利用する労働者に負担させるために毎月の賃金から控除する場合は、賃料を控除することに関して労使協定を締結することが必要となります。
協定を締結すれば何でも控除できるのかというと、そうではありません。行政解釈によると、購買代金や福利・厚生施設の費用、社内預金など、その使途や名目がはっきりしているものだけ協定によって控除することを認めるとしています。
したがって、協定には、控除する項目を限定的に列挙するとともに、毎月の給与から控除する場合は、「毎月○○日支給の給与から控除する」などと明記することが求められます。
なお、賃金の控除に関する労使協定は行政官庁への届け出が不要で、事業場において保管します。





