「仕事のやりがい」に企業規模は関係なし
-09年版中小企業白書-
今月は、政府がこのほど閣議決定した2009年版の「中小企業白書」から、「中小企業の雇用動向と人材の確保・育成」の項を抜粋して掲載しました。
その中では、大企業と中小企業で仕事のやりがいにはほとんど差がないとした上で、中小企業は小さい組織を活かし、経営者と従業員のコミュニケーションを高めることにより、従業員の意欲と能力を向上させていくことが重要だとしています。
なお、同白書は複数の省庁の調査等を基に構成されていますが、紙面の都合上、それらの表記を割愛しています。
■中小企業における雇用動向等■
《雇用情勢の悪化と雇用調整等》
08年度は、中小企業にとって経営環境が急激に悪化し、それに伴って雇用情勢も一段と厳しさを増した一年であった。
08年10月時点の中小企業における雇用形態別の雇用過不足感は、3ヶ月前の7月時点と比較して、特に「派遣社員」については過剰感が大きく増加しており、「正社員」や「契約社員・パート等」でも過剰感が強まっている。
このような状況の中、多くは人件費以外の経費削減により対応している一方で、賃金調整・雇用調整を行っている中小企業も約2割あり、その内容を見ると、多くはボーナスの切り下げ等といった賃金調整や残業規制等で対応している。(下図参照)

《雇用のミスマッチ》
サービス業や小売業では比較的雇用の過剰感・不足感が同程度である一方で、製造業や卸売業では過剰感が不足感を大きく上回っているなど、業種間でミスマッチが生じている。
また、一般事務の職業」といった職業で過剰となっている一方、技術者や医療福祉関係の専門的な職業で人員が不足しているといったミスマッチも生じている。
《労働移動の状況》
過去5年以内に仕事をやめ、現在は別の職場で働いている人の移動状況を見ると、中小企業の正社員から中小企業の正社員への移動が最も多くなっているが、「情報通信業」では、他の業種と比較して大企業から中小企業に移動する割合が高くなっている。
■中小企業で働く人材の仕事のやりがい■
《仕事のやりがいの現状》
大企業と中小企業の正社員に「仕事のやりがい」について尋ねたところ、大企業の従業員の方が仕事のやりがいを感じている者が若干多いが、中小企業でもやりがいを感じている者は多く、大企業と比べて遜色はないことが分かった。
また、同じ企業での勤続年数が10年以上の正社員に対して、過去10年前に比べて仕事のやりがいがどのように変化したか尋ねたところ、中小企業の従業員の方が仕事のやりがいが「大きくなっている」と回答した割合が高かった。
《仕事のやりがいと企業業績との関係》
中小企業のうち、10年前に比べて従業員の満足度が向上したと考えている企業に対して、満足度の向上がどのような効果をもたらしているか調査したところ、「従業員の定着率の向上」を挙げる企業が最も多く、次に「生産性の向上」や「顧客満足度の向上」を挙げる企業が多かった。
このことから、中小企業において、仕事のやりがいに対する従業員の満足度を向上させることは、従業員の定着率や生産性の向上を通じて、その企業の業績にプラスの効果をもたらすと考えられる。
■経営者と従業員のコミュニケーションの現状■
中小企業の場合、従業員数が少ないことから、経営者と従業員の間で直接コミュニケーションを行うことが大企業に比べて容易と推察される。
その具体的な取組として、「経営方針、事業計画等を従業員に説明する場(朝礼その他の場)を設けている」を挙げる企業の割合が最も高い。
そして、この取組や「社内報、社内メール、社内イントラネット等で経営者が経営方針等を説明している」、「従業員からの提案制度を導入している」といった取組は、従業員規模の小さな企業ほど実施されていないという傾向が見られる。
他方、「個々の従業員が社長等の経営トップと直接面談する機会を設けている」と回答した企業の割合は、概ね従業員規模の小さな企業ほど高くなっている。
こうしたコミュニケーションに中小企業の経営者が意識的・戦略的に取り組むことにより、従業員の仕事のやりがい感を高め、従業員の意欲を引き出すことが重要といえよう。
■中小企業における人材育成の取組状況と課題■
中小企業における人材育成の取組状況を見ると、「OFF-JT」については従業員規模の小さな企業ほど実施割合が低くなるが、「計画的なOJT」については従業員規模20人以下の企業でも約6割が実施している。(下図参照)

また、中小企業が人材育成に取り組む中でどのような課題に直面しているかを見ると、従業員規模にかかわらず、「教育、訓練等に充てる費用や時聞か捻出できない」ことを挙げる企業が最も多い。




