法定内残業手当は、割増賃金の基礎になるか? (そこが知りたい労使問題)

 ◆質 問◆ 
 当社は所定労働時間が午前9時始業、午後5時終業(休憩1時間)の7時間ですが、工場内の整理整頓などで残務的な仕事もあります。
 従業員との話し合いで午後6時までの1時間については、残業の有無にかかわらず所定労働時間(7時間)で換算した賃金を基準として定額を「勤務手当」の名称で一律支給し、1日8時間を超える場合には、その時間については25%割増の賃金を支給しています。
 この場合、午後5時から6時までの1時間に対する「勤務手当」を割増賃金の基礎として含めることになるのでしようか?

 ◆回 答◆
 残業の有無にかかわらず所定労働時間外の1時間(法定内残業)について所定労働時間の賃金を基準として定額で支給している「勤務手当」は「通常の労働時間の賃金」とは認められませんので、割増賃金の基礎には算入されません。


 ◆解 説◆
 労働基準法第37条において、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」とされています。
 質問は、いわゆる「法定内残業(実働8時間になるまでの残業で、法定の時間外労働に該当しない残業)」として定額で支給している「勤務手当」について割増賃金の基礎に含めるかどうかとのことですが、通達では次のとおり示されています。

  《法定内残業に対して支払われる手当》(要点抜粋)

1.所定労働時間が1日7時間である事業場において、所定労働時間を超え、法定労働時間に至るまでの所定労働時間外労働に対する賃金として、本給のほかに一定月額の手当を定め個々の労働者が所定労働時間外労働をすると否とにかかわらずこれを支給することは、その手当の金額が不当に低額でない限り差し支えない。

2.前記1の手当は、法第37条にいう通常の労働時間の賃金とは認められないから、同条の規定による割増賃金の基礎に算入しなくても差し支えない。
      (昭29・7・8基発3264  昭63・3・14基発150)

 今回のケースでは、午後5時の終業後午後6時までの1時間については、法定内残業であって、従業員との話し合いのうえ、残業の有無にかかわらず所定労働時間の賃金を基準として一律に支給している勤務手当は、実態は所定労働時間外の手当であり「通常の労働時間の賃金」とは認められませんので、通達どおり、割増賃金算定の基礎に算入しなくても差し支えないということになります。
 なお、従業員との話し合いのうえ決定されていたとしても、今後のトラブル防止のためには、就業規則への記載と社内へ周知されているかどうか再度確認する必要はあるでしょう。

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