★「整理解雇」に関する相談が倍増★
08年度「個別労働紛争解決制度」の施行状況
厚生労働省の発表によると、労働者と企業とのトラブルを、裁判に持ち込むことなく迅速に解決するための「個別労働紛争解決制度」に基づく民事上の個別労働紛争に関する相談件数が、2008年度は前年度に比べ19.8%増の236,993件と過去最多を更新したことが分かりました。
経済・雇用情勢の急速な悪化を反映して、「整理解雇」に関する相談が前年度の2倍以上になるとともに、派遣労働者と期間契約社員からの相談がいずれも4割あまり増えています。
■ 相談受付状況 ■
労働問題に関するあらゆる相談にワンストップで対応するため各都道府県労働局、労働基準監督署内等に開設されている総合労働相談コーナーに08年度一年間に寄せられた相談件数は、前年度比7.8%増の1,075,021件であった。
このうち、労働関係法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げ等のいわゆる民事上の個別労働紛争に関するものが同19.8%増の6,993件で、08年度は増加件数が拡大した。(下図参照)

また、民事上の個別労働紛争に関する相談は、労働者(求職者)からのものが190,720件(80.5%)と大半を占めており、事業主からは29,541件(12.5%)であった。
なお、相談した労働者の就労状況は、正社員が46.0%と最も多いが、パート・アルバイトが16.3%、派遣労働者が8.3%、期間契約社員も8.3%を占めており、前年度と比較すると派遣労働者、期間契約社員の割合が増加した。
【主な相談内容】
民事上の個別労働紛争の主な相談内容は、解雇に関するものが67,230件(25.0%)と最も多く、労働条件の引下げ35,194件(13.1%)、いじめ・嫌がらせ32,242件(12.0%)と続いている。(下図参照)

なお、解雇に関する相談の内訳を見ると、整理解雇に関するものの伸びが著しい。
■ 都道府県労働局長による助言・指導 ■
労働局長による助言・指導の申し出を受け付けた件数は7,592件で、前年度比14.1%の増加となった。
このうち、労働者からの申し出が98.7%と大半を占めるが、事業主からも100件(1.3%)あった。
【主な内容】
助言・指導の申し出の主な内容は、解雇に関するものが25.1%と最も多く、いじめ・嫌がらせ12.7%、労働条件の引下げ10.5%と続いている。
【助言・指導の処理状況】
申し出を受け付けた事案について、手続きを終了した件数は7,546件で、このうち、助言・指導を実施したのは7,346件(97.3%)、申し出が取り下げられたのは135件(1.8%)、処理を打ち切ったのは38件(0.5%)となった。
《いじめ・嫌がらせに係る助言・指導の例》
直属の上司から業務指示と称して暴言等を受け出勤が困難な状況にあるため、事業場の責任者に職場環境について相談したが改善が見られないことから、このような職場環境の改善を求めて労働局長の助言・指導を申し出たケース。
客観的に状況が判断できる人事担当責任者に、パワーハラスメントに関しての法的整理を説明し、それを踏まえて話し合うよう助言・指導した結果、申出人と会社との話し合いにより、職場環境の改善がなされた。
■ 紛争調整委員会によるあっせん ■
労働問題の専門家である弁護士、大学教授等からなる紛争調整委員会があっせんの申請を受理した件数は8,457件で、前年度比18.3%の増加となった。
このうち、労働者からの申請が98.4%と大半を占めるが、事業主からも128件(1.5%)、労使双方からも9件(0.1%)あった。
【主な内容】
あっせん申請の主な内容は、解雇に関するものが39.6%と最も多く、いじめ・嫌がらせ15.2%、労働条件の引下げ8.5%と続いている。
【あっせんの処理状況】
申請を受理した事案について、手続きを終了した件数は7,920件で、このうち、合意が成立したのは2,647件(33.4%)、申請者の都合により申請が取り下げられたのは587件(7.4%)、紛争当事者の一方が手続きに参加しない等の理由により、あっせんを打ち切ったのは4,654件(58.8%)となった。
《退職勧奨に係るあっせんの例》
上司から会社の退職募集に応募するよう度重なる勧奨を受けたが、退職募集に応募する意思がない旨回答したところ、「応じないのであれば仕事はない。」と通告され、退職を余儀なくされた。そのため、上司の過度な退職勧奨により生じた精神的苦痛および経済的損失に対する補償を求めてあっせんを申請したケース。
双方の主張を確かめ、当事者間の調整を行った結果、解決金を支払うことで双方の合意が成立した。




